「小説」の記事一覧

変わらない笑顔で（メモリーズオフサイドストーリー）

智也は息を切らしながら、全力でアベニューを走っていた。足を止めることなく、時計を見る。デジタル時計が示す時刻に、智也は顔を引きつらせた。 ───やばい、完全に遅刻だ！焦る気持ちを力に変えて、走るスピードを上げた。 […]

灰色の空から降り注ぐ雨が、もの寂しげなメロディを奏でていた。この演奏はここ２，３日の間、ずっと続いている。「雨か・・・」窓から外を眺めていた智也が、小さくつぶやいた。ふとひとりの少女の顔が脳裏に浮かび、胸に針を刺 […]

澄みきった青空に抱かれた公園に、たおやかな風が吹いていた。冷たいが、とても優しい風の中、みなもは憧れの先輩と肩を並べて歩いていた。今日はみなもにとって特別な日だった。今までずっとずっと夢見ていたことが現実になったのだ […]

温和な風が吹きぬける校門の前に、ひとりの少女が立っていた。校門から校舎に続く歩道の両脇には無数の桜の木が植えられており、それぞれの出番を今か今かと待ちわびている。恐らく、あと太陽と月が交互に７回ほど頭上に昇れば、そのとき […]